後立山(長野/富山) 舟越ノ頭(2612m)、小蓮華山(2766m)、白馬岳(2932.3m) 2024年7月27  カウント:画像読み出し不能

所要時間 1:18 蓮華温泉駐車場−−2:41 天狗の庭−−3:32 白馬大池−−4:09 舟越ノ頭−−4:46 小蓮華山−−5:15 三国境(分岐)−−5:50 白馬岳 6:00−−6:43 三国境(分岐)−−7:18 小蓮華山−−8:03 舟越ノ頭−−8:32 白馬大池−−9:13 天狗の庭−−9:58 水浴び 10:02−−10:10 蓮華温泉駐車場

場所長野県北安曇郡白馬村/富山県下新川郡朝日町/新潟県糸魚川市
年月日2024年7月27 日帰り
天候
山行種類一般登山
交通手段マイカー
駐車場蓮華温泉に駐車場あり。ただし収容台数が少ない(50台程度?)ので週末にはすぐに満車になる
登山道の有無あり
籔の有無無し
危険個所の有無無し
山頂の展望各山頂とも晴れれば大展望
GPSトラックログ
(GPX形式)
ここをクリックしてダウンロード
コメント大雪渓の通行止めが続いているので蓮華温泉経由で登る。その影響か駐車場は車が多く、金曜夜で空きが数台しかなく土曜日はかなり遠い駐車スペースまで埋まっていた。いつもより早い時期で高山植物の開花のピークを期待したが、白馬大池周辺のチングルマ大群落は既に大半の花が終わっていた。それでも稜線は花盛りで目を楽しませてくれた。天気予報では雨が降る可能性が高いと考えて準備したが、思ったよりも良くて雨は降らず逆に日差しが出る時間帯が結構あった


白馬大池周辺のお花畑で見られたタテヤマリンドウ、イワイチョウ、ハクサンコザクラ。チングルマのピークは過ぎていたがまだ楽しめた


見かけた花と開花状況

花の種類

場所 

開花状況 

シナノナデシコ
別名ミヤマナデシコ
蓮華温泉付近 花盛り。蓮華温泉の庭で咲いていた
キツネノボタン 蓮華温泉付近 花盛り
タマガワホトトギス 蓮華温泉付近 花盛り
ミヤマトウバナ? 蓮華温泉〜天狗の庭 終わりに近い
ノリウツギ 蓮華温泉〜天狗の庭 花盛り。ガクアジサイの花に似ているが花の色は白で木の高さが高い
ガクアジサイ 蓮華温泉〜天狗の庭 花盛り。多く見られた
オニシモツケ 蓮華温泉〜天狗の庭 終わりかけ
オオバギボウシ 蓮華温泉〜天狗の庭 終わりかけ。見たのは1株だけ
オトギリソウ 蓮華温泉〜白馬大池 花盛り
ニガナ 蓮華温泉〜小蓮華山 花盛り
シロバナニガナ 蓮華温泉〜小蓮華山 花盛り
ミヤマアキノキリンソウ 蓮華温泉〜白馬岳 咲き始めから花盛り。広範囲で見られる。秋の花なのにこの時期に見られるとは。
ミヤマシャジン? 蓮華温泉〜天狗の庭 1輪だけ咲いていた。ヒメシャジンかと思って葉の撮影をしていなかったが、どもミヤマシャジンらしい
ミヤマカラマツ 蓮華温泉〜天狗の庭 終わりかけ。登山口に近い位置のみで見られた
メタカラコウ 蓮華温泉〜天狗の庭 花盛りでも1株しか見なかった
シモツケソウ 蓮華温泉〜天狗の庭 まだ蕾
ウメバチソウ 天狗の庭、舟越ノ頭〜小蓮華山 花盛り。でもこれは秋の花のイメージがあり、今年は早すぎるような
ネバリノギラン 天狗の庭〜稜線 花盛り? 咲いているのか分からない花
エゾムラサキ 天狗の庭 花盛り
タカネナデシコ 天狗の庭、白馬大池〜小蓮華山 花盛り
オオコメツツジ 天狗の庭 ほぼ終わり
イブキジャコウソウ 天狗の庭、稜線 花盛り
ミヤマコゴメグサ 天狗の庭、白馬大池〜小蓮華山 花盛り。小蓮華山〜白馬大池で断続的に大群落が見られる
ミヤマウィキョウ 天狗の庭 花盛り
ホツツジ 天狗の庭 咲き始め
ヒメシャジン 天狗の庭 花盛り
ハクサンオミナエシ 天狗の庭 花盛り
ゴゼンタチバナ 天狗の庭〜白馬岳 花盛り〜終わりかけ
マイヅルソウ 天狗の庭〜白馬大池 ほぼ終わり
ミヤマダイモンジソウ 天狗の庭〜白馬大池、白馬岳付近 花盛り
モミジカラマツ 天狗の庭〜白馬大池 花盛り
オオバミゾホオズキ 天狗の庭〜白馬大池 花盛り
ミヤマコウゾリナ 天狗の庭〜白馬大池 咲き始め。タンポポに似た花だが茎、葉など全体に剛毛が生えている
コバノイチヤクソウ 天狗の庭〜白馬大池 花盛り
ズダヤクシュ 天狗の庭〜白馬大池 終わりに近い
ツボスミレ 天狗の庭〜白馬大池 花盛り。こんな高い場所で咲いている&こんな時期に咲いているのは非常に珍しい
ハクサンシャクナゲ 天狗の庭〜白馬大池 終わりに近い
ムカゴトラノオ 白馬大池周辺〜稜線 花盛り〜終わりに近い
ツマトリソウ 白馬大池周辺 花盛り
ウサギギク 白馬大池周辺〜白馬岳 数が少ないので不明
タテヤマリンドウ 白馬大池周辺 花盛り。チングルマの群落の中に見られる
ハクサンコザクラ 白馬大池周辺 花盛り
チングルマ 白馬大池〜三国境 花盛り〜おしまい。場所によりけり
イワイチョウ 白馬大池周辺 花盛り? 数が多くはなく判断が難しい
ミヤマキンバイ 白馬大池〜白馬岳 白馬大池付近はまだ咲いていたが、稜線ではほぼ終わり
ミヤマダイコンソウ 白馬大池周辺〜白馬岳 ピークを過ぎて散りかけている。普通サイズの花では稜線で一番多かったと思う
コイワカガミ 白馬大池〜白馬岳 花盛り
リンネソウ 白馬大池周辺 花盛り。ハイマツの影で群落を作っている
コマクサ 白馬大池付近、三国境付近 終わりに近い。もう萎れかけていた
コケモモ 白馬大池付近〜白馬岳 花盛り
トウヤクリンドウ 白馬大池〜小蓮華山 1輪だけ咲いていた。秋に咲く花であり7月に見たのは初めて
ヤマハハコ 白馬大池〜小蓮華山 花盛り
ミヤマリンドウ 舟越ノ頭〜小蓮華山 開花し始め。タテヤマリンドウ同様にチングルマの群落の中に見られる
エゾシオガマ 舟越ノ頭〜白馬岳 花盛り
ホソバツメクサ 舟越ノ頭〜小蓮華山 花盛り。葉はイワツメクサだがイワツメクサより花がずっと小さく花弁に切れ込みが無い
クモマミミナグサ 舟越ノ頭〜小蓮華山 花盛り。ミヤマミミナグサの変種で白馬岳周辺の固有種。ミヤマミミナグサの葉弁の先端は細かく裂けているが、クモマミミナグサの花弁の先端は2つに裂ける
ムシトリスミレ 舟越ノ頭〜小蓮華山 花盛り。食虫植物で葉が粘着質の腺毛に覆われて虫を捕獲する。スミレの名が入っているが全くの別種である
ミヤマアズマギク 舟越ノ頭〜白馬岳 花盛り
チシマギキョウ 舟越ノ頭〜白馬岳 咲き始めから花盛り
イワギキョウ 舟越ノ頭〜白馬岳 咲き始めから花盛り
シナノキンバイ 小蓮華山付近〜白馬岳 花盛りから終わりかけ
ハクサンイチゲ 小蓮華山付近〜白馬岳 花盛りから終わりかけ
ハクサンフウロ 小蓮華山付近 花盛り
コバイケイソウ 小蓮華山付近 花盛り
ミヤマキンポウゲ 小蓮華山付近 花盛り
ヨツバシオガマ 小蓮華山付近〜白馬岳 花盛り
ツガザクラ 小蓮華山付近〜白馬岳 ほぼ終わり
アオノツガザクラ 小蓮華山付近〜白馬岳 花盛り
イワベンケイ 小蓮華山付近〜白馬岳 ほぼ終わり
イワオウギ 小蓮華山付近〜白馬岳 ピークを越えているがまだ花盛り
ヤマガラシ 三国境〜白馬岳 花盛り
ミヤマクワガタ 三国境〜白馬岳 花盛り
ヒメクワガタ 三国境〜白馬岳 花盛り
タカネヤハズハハコ 三国境〜白馬岳 花盛り
ウルップソウ 三国境〜白馬岳 ほぼ終わり
ミヤマオダマキ 三国境〜白馬岳 終わりかけ。1株しか見なかった
イワツメクサ 白馬大池〜白馬岳 花盛り
タカネツメクサ 白馬大池〜白馬岳 花盛り
ミヤマシオガマ 白馬岳周辺 ほぼ終わり
タカネシオガマ 白馬岳周辺 花盛り
シコタンソウ 白馬岳周辺 花盛り
シコタンハコベ 白馬岳周辺 花盛り? 数が少ないので判断に悩む
ミネウスユキソウ 白馬岳周辺 たぶん花盛り。咲いているのかどうか分かりにくい
ミヤマオトコヨモギ 白馬岳周辺 たぶん蕾。この花は咲いているのかどうか分かりにくい(私には分からない)
この他にセリ科、タデ科、ユキノシタ科の花が複数種類咲いていたが、私の知識では種類が判別不能でここに記載していない


蓮華温泉駐車場。金曜夜早い時刻で数台の空きしかなかった 蓮華温泉ロッジ
糸魚川市街地の夜景 白馬大池で縦走路に合流
大池山荘のテントの光 舟越ノ頭
小蓮華山到着前にガスに突入。でも一時的だった 小蓮華山山頂
小蓮華山から見た東の空。既に日の出の時刻を過ぎている 白馬岳方面はガスの中
徐々にガスが晴れてきたが山頂は見えない 鞍部から三国境を見上げる
三国境 三国境を通過すると下りの登山者が目立つようになる
シコタンソウ ウルップソウの咲き残りはこれだけ
ミヤマシオガマはほぼおしまい 一番奥の霞んでいるピークが白馬岳山頂
白馬岳山頂ガスは晴れたが東側はガスがかかったまま 白馬山荘を見下ろす
白馬岳から見た八ヶ岳、富士山。一時的しか見えなかった 白馬岳から見た剱岳、白山。これも時々顔を出す程度
白馬岳から見た富山湾と能登半島。非常に稀なほどはっきり見えていた
ミヤマオトコヨモギ シコタンハコベ。葉を見ないと判別は難しい
イワオウギ ミネウスユキソウ
イブキジャコウソウ 下山開始
タカネシオガマ イワツメクサ
イワギキョウ タカネツメクサ
ミヤマダイコンソウ 下山は写真撮影しながらでたくさんの人に追い越された
唯一見かけたミヤマオダマキ 白みがかったチシマギキョウ
ミヤマアズマギク ミヤマクワガタ
ヨツバシオガマ タカネヤハズハハコ
標高2800m付近のゴゼンタチバナ。日向でも咲いていた ミヤマコウゾリナ
ミヤマダイモンジソウ ヒメクワガタ
シナノキンバイ ハクサンイチゲは残り僅か
ヤマガラシ まだ7月なのにミヤマアキノキリンソウがたくさん咲いていた
コケモモ 写真では見えないがコマクサがたくさん咲いている
三国境(分岐) 小蓮華山に続く稜線
ミヤマコゴメグサ ムカゴトラノオ。白い花芽の下がムカゴらしい
小蓮華山山頂。帰りは大賑わいだった ミヤマダイコンソウ
アオノツガザクラ ツガザクラ
ミヤマキンポウゲ。このコースでは少数派 コバイケイソウ
白馬大池に続く稜線 エゾシオガマ
ハクサンフウロ ハクサンイチゲとシナノキンバイのお花畑
コイワカガミ ミヤマリンドウ。葉が茎から離れて開くのが特徴
毛があるのでチシマギキョウ ウメバチソウ
タカネナデシコ ムシトリスミレ。名前はスミレでも種はスミレではない
白馬岳固有種のクモマミミナグサ ウサギギク
ホソバツメクサの花。花はタカネツメクサよりかなり小さい 葉や茎はタカネツメクサに似ているがもっと細い
ヤマハハコ もうトウヤクリンドウが出ていた。秋の花
ニガナ シロバナニガナ
舟越ノ頭 舟越ノ頭から小蓮華岳を振り返る
舟越ノ頭から白馬大池方面 ハイマツの影にはゴゼンタチバナの群落
開けた砂礫地にはコマクサ。でもピークを過ぎている 1年ぶりのリンネソウ
雲が晴れて雪倉岳が見えた
白馬大池を見下ろす
タテヤマリンドウ。葉が茎を巻いているのが特徴 イワイチョウ。花弁の縁がガビガビしている
チングルマの大群落 今年初のハクサンコザクラ。オオサクラソウとは葉が大違い
ミヤマキンバイがまだ元気に咲いていた 大池山荘
蓮華温泉方面へ入る ツマトリソウ
オトギリソウ ズダヤクシュ
ハクサンシャクナゲ 標高2250m付近のツボスミレ。こんな高い場所で見るのは初めて
モミジカラマツ コバノイチヤクソウ
オオバミゾホオズキ ハクサンオミナエシ(天狗の庭)
ヒメシャジン(天狗の庭) ホツツジ(天狗の庭)
ミヤマウィキョウ。私が判別可能な唯一のセリ科(天狗の庭) ミヤマコゴメグサ(天狗の庭)
イブキジャコウソウ(天狗の庭) タカネナデシコ(天狗の庭)
天狗の庭から見た雪倉岳 エゾムラサキ(天狗の庭)
天狗の庭で休憩する登山者 ネバリノギラン(天狗の庭)
ウメバチソウ(天狗の庭) シモツケソウの蕾
メタカラコウ ミヤマカラマツ
たぶんミヤマシャジン。葉を撮影しておけばよかった ガクアジサイ
タマガワホトトギス キツネノボタン
源泉と野天風呂地帯 オオバギボウシ
オニシモツケ この沢で水浴びした
右が登山道、左は野天風呂 ノリウツギ。草ではなく木
ミヤマトウバナっぽい 右が登山道、左は野天風呂
蓮華温泉ロッジ シナノナデシコ
ロッジ入口法面は工事中 駐車場は満車で区画外のスペースにも駐車


 今年の白馬大雪渓はおそらく史上初めて7月での通行止めが発生した。これは例年より積雪が少なかった上に春先からの高温で雪解けが急激に進んで、大雪渓を端から端まで横断するようなクラックが何本も走り、その幅が広がって通過が危険になったからだ。クラックが入った区間の秋道が出てクラックをバイパスできるようになれば通行が再開されると思うが、発表によると現状では再開の見込みが8/8で、その可否の判断は7月末とのこと。それまでは通行止めが継続される。

 7月末と言えば例年通りなら高山植物開花のピークで、白馬岳に登る絶好の機会である。しかも大雪渓コースは葱平から村営頂上宿舎までの区間でお花畑が続くので、ぜひともここから登りたいが今年は叶わない。それでも別ルートでも十分に花を楽しめるため、今回は登山口が遠いが蓮華温泉から登ることにした。こちらは白馬大池周辺のチングルマの大群落が最大の目玉商品である。いつもは8月に入ってからでチングルマのピークを過ぎていたが、今回はまだ7月名ので開花のピークを期待できそうな。それに白馬岳山頂の南側と北側では見られる高山植物に違いがあり、大雪渓コースでは見られない花に会うことができる。

 蓮華温泉は長野市からでも遠い場所で一般道で2時間もかかる。と言うか高速道路から遠いので東京や東海、関西からも北アルプスの中では最も時間がかかる登山口の部類になるだろう。しかも山の中をウネウネと延びる長い林道があるのでスピードが上がらず、これまた時間がかかる要素だ。林道の起点となる姫川温泉から木地屋集落へと上がると地滑りによる通行止めの警告看板が登場。まさか蓮華温泉まで入れないのかと焦ったが、車を止めて看板を見ると地滑りの兆候が発生したら通行止めとのこと。安心して車を進めると、集落を通過して最初の大きな谷沿いが大規模に崩れていた。現状では車道が通行可能な状況にした応急処置の段階で、この崩壊を完全に止める工事には数年かかりそうだ。台風等で大雨が降ると事前に通行止めにされる可能性があり、今年は蓮華温泉に入る場合は事前に林道情報を収集した方がいいだろう。

 相変わらず長く狭い林道で、稀に対向車がやってくるので運転は気が抜けない。下界は+30℃を越える暑さだったが山の中は気温が低下して+20℃程で、車の窓を開けていれば快適だった。

 蓮華温泉駐車場手前の橋を渡る前に駐車スペースがあるが、金曜夜の早い時刻なのに既にここに車があった。こんなことは初めてである。橋を渡って駐車場に到着すると満車に近く、空きスペースは数台分しかない。これも初めてであり、おそらく大雪渓が通行止めになった影響もあるだろう。先週の蝶ヶ岳/常念岳登山口のの三股同様に、金曜日でもこれだけ入山者がいるのは人気の山の証拠だ。何せ100名山だからなぁ。

 日中でも日陰になりそうな区画に車を突っ込むが、ここは傾斜がきついので車中泊は快適とは言えないが、酒を飲んで寝たら爆睡だった。

 今週末も先週末に引き続いて梅雨前線が日本海に停滞して北に行くほど天気が悪い傾向だ。ただし先週よりも前線の位置が北にずれていて、北アルプス最北端でも前線の影響は直接的には受けない予報だ。でも前線に向かって南から湿った風が入る気圧配置で大気の状態は不安定の傾向。複数の予報を確認したが半分くらいで白馬岳周辺で雨が降る予報が出ている。一番いい予報は雨は降らずに曇りで、中間の予報は晴れと雨の区間がこの付近で隣接してどっちに転ぶか分からない。まあ、全体的にはあまりいい天気とは言えない状況で、おそらく稜線はガスに覆われる確率が高いだろうが、花を見るのなら雨さえ降らなければ問題ない。

 今回の装備は晴れと雨のどちらにも対応可能とし、雨対策は傘にゴア、ロングスパッツで、暑さ対策は扇、濡れタオル、帽子(今回は麦わら帽子ではなく野球帽のようなもの)とした。標高3000mの気温予想は+11℃、風速は5m/s前後とそれほど寒くはないように思えたが、日差しが無い確率が高いので先週より防寒装備は増やすことにした。その結果、先週の小さなナップザックでは入りきらず、いつも日帰りで使用するザックに切り替えた。

 出発は午前1時半。白馬岳までの所要時間見込みは5時間なので、山頂到着は6時半頃である。日の出の時刻を2時間近く過ぎているが、今日の天気では日の出は見られないだろうし、日が出ていなければ下山の時刻が日中でもさほど暑くはないだろう。さすがにこの時刻では駐車場に上がってくる車はいても、まだ歩き出す登山者はいない。空は雲に覆われて星は見えないが、東の空には雲の隙間から月明かりが見えている。どうやら思ったよりも雲は薄いようだ。雨は降っていないが先週の蝶ヶ岳のこともあり、稜線はどうなのか不明なので雨装備はそのまま担ぐことにした。

 気温は高めで湿度も高くて体を動かすには蒸し暑い。蓮華温泉の大きな建物の西側を回り込んで裏手に出て、三叉路を右へ入る道が登山道である。次の分岐は右が登山道だ。橋が架かる沢は帰りの水浴び場にちょうどいいだろう。その先もいくつか沢が登山道を横断するので水の補給が可能だ。蓮華温泉に近い場所ではタマガワホトトギスがたくさん咲いていた。しばらくは暑さを感じながら歩くが標高1900mくらいから扇で扇ぐ風に涼しさを感じられるようになった。

 首には濡れタオルを巻いて手には扇を持ってパタパタ扇ぎながら上がっていく。この道は傾斜が緩いのでなかなか標高が上がらずまどろっこしいが、下りの時には足にやさしいとも言えよう。所々で案内樺が登場し、そこには手書きで現在地の標高が書き込まれていた。どの程度正確かは知らないが目安には十分な精度だろう。

 樹林帯を上がって背が低い天然のカラマツが登場すると樹林が開けて天狗の庭に到着。ここは標高2080m付近でここより上も下も樹林帯だが、ここだけは森林限界のように背が低い疎らなカラマツだけで樹林が開けていて、生えている植物は森林限界を越えた稜線でも見られるものが多い。タカネナデシコ、ヒメシャジン、エゾムラサキ、イブキジャコウソウ、ミヤマウイキョウ、ミヤマコゴメグサ、ネバリノギラン等である。通常はこの標高では見られない高山植物があるのは樹林が開けて冬場の風雪が強いからなのか、それとも地質的な理由なのかは不明だ。

 天狗の庭を通過すると再び樹林帯に突入し、ここで登場するのはコバノイチヤクソウ。お椀を伏せたような半球形の下向きの花を付ける。6〜7月に開花するベニバナイチヤクソウの色を薄くしたようなもので、花の形はそっくりである。名前のように葉が小さいのかはよく分からない(笑) シラビソ樹林が続く間は見られる花だ。

 標高2150m付近で水は流れていないが樹林が開けた谷間ではモミジカラマツが花盛り。ここも高山植物が見られる場所で、ミヤマダイモンジソウやイワイチョウが生えている。高山植物ではないがこの時期、この標高でツボスミレが咲いているのには驚いた。ツボスミレは北アルプスでは登山口付近(標高1200〜1400m)で見られる花で、標高2000m以上で見たのはこれが初めてだ。花や葉を見る限りではツボスミレに間違いなく、どうしてこんな場所で生きていけるのか謎である。

 再び樹林帯に入って高度を上げていく。登山道には安山岩と思われる火成岩が多くなり、この上にある乗鞍岳が古い火山であることを思い出させる。この岩が多くなると大雨の時に登山道が沢のようになる区間であるが、今は岩が湿っているが水は無い。徐々に植生が変わってナナカマドが多くなると木の高さが低くなり、やがてハイマツが混じりだすと森林限界は近い。

 このコースでの森林限界はちょうど白馬大池で、ナナカマドから背の高いハイマツに変わってから森林限界を越えるとハイマツがきれいさっぱり消え失せてチングルマの広大なお花畑が広がる。今回こそはチングルマの開花のピークだと予想していたのだが、ほとんど咲いていなかった。まさか早過ぎたかと思ったが、登山道近くのチングルマは綿毛になっていたので既に花が終わってしまったようだ。昨年は今回より10日ほど遅い時期に登ったが、まだ咲き残りがあったので今年の方が1週間以上開花が早かったようでちょっと残念。

 白馬大池のすぐ北側で縦走路に合流。大池山荘にはテントと登山者の光が見えていて、小蓮華山方向の登山道にも複数の登山者の光が見えていたので、どうやら稜線にはガスはかかっていないらしい。雲は出ているものの僅かに月明かりが見えているので、雨が降るような天候ではないようだ。このまま天気が持ってくれればいいが。

 私も縦走路に乗って白馬岳方面へ向かう。まだ真っ暗な時間帯だが登山道脇はチングルマが花盛りで、数は少ないがイワイチョウも咲いているのが分かった。私が登る北アの山ではイワイチョウはここでしか見られない。ここのチングルマのお花畑はタテヤマリンドウの群生地でもあるが、真っ暗な中でLEDライトの光ではもう咲いているのか、まだ芽が出ていないのか分からなかった。

 舟越ノ頭への登り斜面手前の裸の平坦地ではコマクサが見られるはずだが、ライトの光だけでは存在は確認できず(帰りにちゃんと見ることができた)。ハイマツ帯に入って登りにかかると、ハイマツの陰にリンネソウが咲いていた。この花も私が良く登る山の中ではここでしか見たことがない。ニリンソウ同様に一つの柄に2つの花が咲いているのが特徴だ。いや、ニリンソウは二輪ではないことが結構あるが、リンネソウはどれもぴったり2輪であった。登山道に張り出したハイマツが濡れていないか心配だったが乾いていた。

 前方の登山者の光は最初はかなり離れた位置に見えていてしばらくは追いつかないだろうと思っていたが、ハイマツ帯の登りで追いついた。小学生くらいの子供連れの3人組だったのでペースが遅いのも納得だ。この先の光はこれまた遠くに見えていた。

 ハイマツ帯を通過して日本山名事典に記載された舟越ノ頭(2590m峰)直下を巻いて、舟越ノ頭の山頂標識がある2612m峰を通過する。この時間は当然ながら無人である。ここから一度下って小蓮華山への登りにかかる。森林限界を超えているので開けた場所であり、冷たい北西の風が吹き抜けて体感的に寒さを感じるようになり、尾根の陰でウィンドブレーカを羽織る。手袋は防水タイプだが防寒用ではないのでちょっと寒かったが、ザックに軍手を突っ込んでいたのを思い出して後で替えた。頭というか耳の冷たさは毛糸の帽子でブロックする。ウィンドブレーカでも寒さを感じるようになってからはネックウォーマーも追加した。

 周囲は徐々に明るくなってきてライトが不要になった頃にガスに突入。このままずっとガスの中かと思ったが、私の後を追いかけるように東側からガスが切れてきた。このガスとの「競争」の途中で3人パーティーを追い越した。もう少しで小蓮華山山頂の位置であった。この付近は花が多く、ツガザクラやアオノツガザクラ、ミヤマダイモンジソウ等がまだ咲いていた。

 小蓮華山山頂到着は日の出を少し過ぎた時刻であった。山頂のガスは切れて東の空が見えているが、残念ながら雲に覆われて太陽は見えなかった。これは想定内で雨が降っていないだけマシである。

 小蓮華山から鞍部への下りは石が重なった斜面で花は一度消える。ガスの切れ目はなおも西へと移動中で、最初は見えなかった三国境の白い砂利に覆われた斜面が見えるようになってきた。分厚い雲に覆われていた白馬三山の稜線も徐々に雲が薄くなってきたようだ。ガスが完全に晴れるかは分からないが、天気は回復傾向らしい。

 傾斜が緩むと北斜面にミヤマコゴメグサの大群落が登場。さらに下って鞍部から登り返しにかかると砂礫地にはコマクサが点在していた。前回はここで登山道を離れて三国境の山頂に立ったが、今回は登山道に人の姿があるので素直に登山道を歩くことにする。三国境の分岐点では休憩している人の姿が見られたが、登りの人なのか下りの人なのかは不明だ。

 三国境から先は下りの登山者が急激に増えてきた。白馬山荘か村営頂上宿舎を出発した登山者だろう。大雪渓コースが通行止めのため、おそらく大半の登山者は栂池自然園経由で登っていると思われる。鑓温泉経由で白馬三山を縦走する人もいるだろうが、これは手軽に白馬岳に登ろうとする人が選択するコースではないだろう。しばらくは白馬岳〜白馬大池間は多くの登山者で賑わいそうだ。

 前方には白馬大池付近から遠くに見えていた光の主=10人近くのパーティーが見えるようになっていた。だいぶ距離を詰めたわけで、ちょうど白馬岳山頂で追い付くことになる。かなりの軽装だったので大池山荘で1泊したのだろう。白馬岳山頂を覆っていたガスはこのパーティーが進むのと同じくらいのペースで消えてきていて、白馬岳山頂に到着した時には山頂のガスが切れていた。

 約1ヶ月ぶりの白馬岳山頂。前回やその前の時は山頂に1時間近く滞在しても山頂は無人だったが、今回は賑やかだ。山頂のガスが切れたといっても東から南にかけては背の高い雲が覆って展望を隠していて、小蓮華山や栂池自然園、北信の山々は全く見えず、白馬山荘は見えたが杓子岳より先は見えなかった。一時的に雲が切れて八ヶ岳、富士山、南アルプス〜南アルプス深南部や裏銀座から黒部五郎岳、立山、剱岳が見えることはあるが、富山湾方面以外は基本的には雲がかかったままだった。唯一展望がある富山湾方面の空気の透明度は非常に素晴らしく、能登半島が先端までくっきりと見えていた。これだけ明瞭に見えることは滅多にない。これがもっと東まで続けば佐渡が見えてもおかしくないのだが、残念ながらその方向は雲がかかっていた。

 山頂でも北西の冷たい風がそれなりに吹いているので、ここで防寒用にゴアの上下を着用。防水性能が劣化していても防風目的なら問題なし。気温が高めなので長袖シャツを着なくても大丈夫だった。

 南側の展望と咲いている花の確認のため、山頂南端の肩まで移動。ここでも数名が休憩中だが周囲の雲で展望は悪いまま。足元にはイブキジャコウソウ、イワオウギ、ミネウスユキソウなどが咲いていた。もっと下って白馬山荘まで達すればシロウマオウギが咲いているはずだが、今回はそこまで下らなかった。

 天候は予想よりずっと良くて、周囲には雲が多いが頭上には高く薄い雲だけで雨の心配はなさそうだった。これなら麦わら帽子を持ってきた方が良かったかもしれない。

 下山は明るくなった時間帯なので花の写真撮影を行いながら歩く。まだ撮影していない花が無いかキョロキョロしながら歩いたり、あちこちで立ち止まってカメラを構えるため歩くペースが遅くなり、白馬岳から栂池自然園方面へ下山に向かう多くの人の列に追い越されながらとなる。数年前までの私と同じく、多くの登山者は登山道脇に咲いている花には見向きもせず、時々雲が切れて姿を現す剱岳にスマホを向ける人はいても、地を這う低い背の高山植物を撮影する人はほとんどいなかった。

 白馬岳から三国境にかけては既に花のピークは越えていて、特に西側斜面のお花畑は約1ヵ月前よりもずいぶん数が減っていた。その代わりに東斜面の雪が消えて花が咲いているが、残念ながらその密度は西斜面よりは低い。1ヵ月前に花盛りだったツクモグサは株ごと消失して影も形も無くなっていたのには驚いた。ウルップソウにミヤマキンバイ、ミヤマシオガマ、ハクサンイチゲはごく僅かな咲き残りがあるだけ。今一番多いのはミヤマダイコンソウだが、これも開花のピークは越えていて2週間後くらいには完全に散っているだろう。

 1ヵ月前は見られなかったが今が花盛りの花は多い。タカネシオガマ、イワオウギ、イブキジャコウゾウ、シコタンソウ、イワツメクサ、タカネツメクサ、ミヤマアズマギク、ミヤマクワガタ、エゾシオガマ、イワギキョウ、チシマギキョウなどである。三国境周辺の砂礫斜面ではコマクサが咲いていたが、もうピークは過ぎて萎れかけている花が多かった。

 三国境を通過して小蓮華山方面へ向かうと、私と同じく小蓮華山への登りにかかっている登山者の姿が多く見られた。当然ながらこれらのほぼ全てが白馬山荘か頂上宿舎での宿泊者だと思われ、私のような日帰り登山者はまだ白馬岳へと向かっている途中であろう。周囲の人からは私も小屋泊まりの登山者だと思われているに違いない。

 三国境〜小蓮華山鞍部から登り返しで体が発熱し、ゴアの上下を脱いで放熱。往路では北西の冷たい風が強かったが今は弱まっていた。ある程度登ると北斜面はミヤマコゴメグサの群落が見られるようになる。この花は非常に小さいし背が低いのでぱっと見では気付かないかもしれないが、小蓮華山〜白馬大池にかけては私が知る限りで北ア最大の群落が広がっている。コマクサしか生えないような石が転がるだけの乾燥した場所でも生き抜くのだからコゴメグサはしぶとい存在かな。

 復路の小蓮華山は登山者で賑わっていた。おそらく登りも下りも両方の登山者が休んでいるのだろう。こちらは写真撮影だけして通過する。

 賑わう小蓮華山を通過すると登山道は稜線北側直下に移り、その斜面にはたくさんの花が咲いているので撮影。再び歩くペースがガタ落ちだ。登山道が尾根上に移ると北斜面はハイマツに覆われているので花が少ないが、南斜面に花が多く見られるようになる。おそらく南斜面には遅くまで雪が残るようで、周囲ではもう終わっているハクサンイチゲが咲いている場所もあった。小凹地では今回唯一見かけたミヤマキンポウゲ。ここではかなりの少数派でしかない。

 チングルマの群落の中に今年初のミヤマリンドウを発見。白馬大池付近ではミヤマリンドウではなくタテヤマリンドウしか見られないが、この付近では逆にミヤマリンドウしか見られない。両者の差の一つは花の中央部に斑点があるかどうか。斑点があるのがタテヤマリンドウで無地がミヤマリンドウ。色は一般的にミヤマリンドウは濃い青でタテヤマリンドウは色が薄く水色である。しかしながら個体差でこれらではどちらなのか見分けが難しい場合がある。そんな場合の見分けるポイントが葉の付き方だ。ミヤマリンドウは茎から葉が完全に離れて開いているが、タテヤマリンドウは葉が茎を包むように巻き付き気味になっている。なお、どちらのリンドウもなぜかチングルマの群落の中に埋もれるように生えていることが多い。チングルマを見たらリンドウがいないかよく探してみて欲しい。

 少し下って南斜面が乾燥した砂礫地になると北斜面にはタカネナデシコが登場。乾燥地帯には白馬岳の固有種であるクモマミミナグサ。葉っぱは普通のミミナグサと同じだが花弁の切れ込みが1つしかなく先端が2つに分かれている。??ミミナグサは先端がもっとたくさん分かれているので判別が可能だ。ここにはニガナやシロバナニガナも見られたが、おそらく樹林帯に生えているものとは細かな種は異なっているのだろう。ニガナは何種類かあるが、今の私では見分けがつかない。

 北斜面のチングルマ群落付近ではムシトリスミレを発見。名前にスミレが付いていて花の見た目はスミレに似ているが、スミレとは異なる種で食虫植物だ。虫を捕まえるのは花ではなく葉で、表面に粘り気があるらしい。私が北アルプスでこれを見たのは白馬岳周辺と八方尾根である。ここでは小規模ながら群落を形成していた。

 さらに下って舟越ノ頭の登りにかかるとミヤマコゴメグサが復活し、一面を覆うようになる。帰りの舟越ノ頭は休憩している登山者で賑わっていた。ここでは8月初旬にはハクサンシャジンが咲いているのだが、今はまだ影も形もなかったのは残念。

 舟越ノ頭からハイマツ帯を下り、往路は暗くて撮影できなかったゴゼンタチバナとリンネソウを撮影。どちらもハイマツの陰に隠れるように咲いているので、あからさまな日当たりがいい場所は苦手らしい。ここまで下ってくると登りの人が少なくなって下りの人が目立つようになった。

 白馬大池周辺のチングルマの大群落に到着してここでも撮影。往路の暗闇では気付かなかったがタテヤマリンドウがたくさん咲いていた。今年初のイワイチョウの花も撮影。ここではミヤマキンバイがまだ萎れず咲き誇っていた。おそらく遅くまで雪が残る場所なのだろう。チングルマの大群落で花が今も残っているのは、いかにも冬場に吹き溜まりになりそうな斜面南側の登山道脇だけであった。

 白馬大池で蓮華温泉方面へ下っていく。まだまだ登りの登山者とすれ違いが多いが、それでも合計で2,30名程度だったと思う。北アの有名どころのコースよりは少ないと言えよう。これが白馬大雪渓や柏原新道、常念岳の一ノ沢コースだとすれ違う人数は100名の桁になるのが普通だ。大ザックで下りの人もチラホラと見かける。

 こちらでも暗闇の往路では撮影できなかった花を探して撮影しつつなのでペースは遅くなる。でも高度が落ちるにしたがって明らかに体感温度が高くなって汗が噴き出すようになったので、ゆっくり歩いて汗を抑えた方がいい。森林限界以上でも樹林帯でも広く見られるのがミヤマアキノキリンソウ。まだ7月なのに既に花盛り。お盆を過ぎる頃には見られるのはこの花とトウヤクリンドウだけなんて山が多くなる秋の花だ。オトギリソウも多く見られる。

 標高を落とすとコバノイチヤクソウが登場するので写真撮影。私が登る山でこれが見られるのはここと常念岳一ノ沢コースだけである。他にめぼしい花が無いか探しながら歩いたが、天狗の庭までは新たな収穫は無かった。

 天狗の庭が近付くとハクサンオミナエシが登場。同時に背が低く幹が曲がった天然カラマツが登場する。樹林が開けた斜面が天狗の庭で、往路で撮影できなかった花を撮りまくる。暗闇ではエゾムラサキの存在が分からなかったが、明るくなるとあちこちで咲いているのが分かった。ここでは休憩している人の姿を見かけたが、樹林が切れてい展望がいいのは利点だが直射日光が照りつけて暑いのが難点だ。今の状況なら私なら涼しさ優先で樹林帯の日陰に休憩場所を決めるだろう。休憩している人はここに生えている植物が通常ならこんな標高にあるはずがない種類だとは知らないだろうなぁ。

 再び樹林帯に突入。いつの間にか周囲の木はシラビソから落葉樹へと変わっていた。標高を落とすに従って暑さが増して汗が噴き出す。このコースは北斜面なのでこれでもまだ涼しい部類のはずだが、暖かい南風が入る気圧配置なので気温が高く湿気も多いのだろう。今年で一番大汗をかかされた。

 もう登りの登山者はいなくなったがまだ下りの登山者を追い越すことがある。家族らしい小学生くらいの子供を連れたパーティーを追い越すと沢が近付いてきた。最初の2本は見送って橋が架かった一番大きな沢でサックを下ろして濡れタオルで全身の汗をぬぐってさっぱりした。夏の時期はこれが恒例行事である。

 タマガワホトトギスが多く見られるようになればゴールは近い。野天温泉入口分岐を通過して蓮華温泉建物の裏手の登山口に到着。ここからも野天温泉に行くことができる。

 建物の西側を回り込んでロッジ正面に出るとシナノナデシコが咲いていた。これは人が植えたものなのか自然に生えているものなのか不明だ。

 法面と路面の工事現場の上側の道路を通過して駐車場に到着。当然ながら満車であり、正規の駐車区画以外でも隙間があるところにはびっしりと車が止まっていた。おかげで通路の隙間が狭く、軽自動車でも気を付けないといけないくらいであった。この時間は私が追い越した下ってくる登山者もいるが、これから出発する登山者の姿もあった。

 着替えて車を走らせると、橋を渡った先の駐車スペースはもちろん、そこからかなり離れた駐車個所も車が置いてあった。そこからだと蓮華温泉まで15分以上歩くだろう。ここまで車が多いのを見たのは初めてだ。この状況は大雪渓が開通するまで続くのではなかろうか。

 

山域別2000m峰リスト

 

ホームページトップ